2009年10月8日木曜日

銀行との距離感について

このよもやま話の主人公は、直近事業年度の売上2億円、課税所得は100万円未満を計上している法人だ。

しかし、この課税所得は、減価償却費に手心を加え(不肖 私が)、また、役員給与をゼロとした上でのエンピツをなめなめして出した数字だ。そのほかに過去から積み上がった粉飾額が8000万円ほどあり、実質上の債務超過会社である。

この会社は、メインバンクがない。社長が貸してくれる銀行を駆けずり回っている。そして、与信審査の結果がGOサインとなると、その銀行が他の銀行からの借入金の肩代わりを申し出るので、結果として、数年単位で、メインバンクが変わってしまうのだ。

(メイン銀行がないといって、数年単位でメインバンクが変わってしまうという論理矛盾はちょっとわきに置いておいて)

私は、この会社とのお付き合いしていくうちに、「会社と銀行との距離感」を考えさせてくれた。私は、銀行に対して、正しい数値をタイムリーに開示するべきであるという立場だった。

 銀行を会社再建チームの仲間に引き入れて会社を再建をしていこうと考え、その上で、月次決算書の開示、銀行に対する決算報告会等を提案した。つまり、チーム内での情報の共有だ。
 一方で、社長は、銀行に対して、多少、距離を置いて、必要なら決算数値もお化粧することもかまわないという考えだった。

 本年7月に、新たにS銀行から1億円以上の新規融資を受けて、昨年からメーンバンクになったKK銀行からの借入金を返済して、S銀行をメーンバンクにしてしまった。しかし、S銀行からしてみれば、自分をこの会社のメーンバンクとは考えていないだろう。
(さっきの論理矛盾は、私的にはこれで解消している)

メインバンクがないと、再建の際に、汗をかいてくれる債権者(通常、メインバンクが引き受けてくれることが多い)がいないので、再建が難しくなる。

私はというと、S銀行との借り入れ交渉のお手伝いをしたのち、その融資が出たとたん、顧問契約の解除を伝えられ、この法人の行く末を直接見届ける機会を失ってしまった。(私は、税理士と顧問先企業との距離感を間違っていたといえる)

会社と銀行の関係は、お互いの利害がシンクロしていないから微妙なものがある。(これは、リーチャド・プーリーが書いたファイナンスの教科書で詳しく分析している)

やっぱ、彼の銀行に対する距離感は、会社にとって良くないと思うのだが・・・

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2009年10月7日水曜日

課税庁の脱税キャンペーン  J&J

今日も、読売新聞で、脱税事件の報道があったね。J&J日本法人の元役員の方が、与えられた親会社(アメリカ法人)の株式のストックオプションに行使に伴う、利得が申告漏れとなっていたとのこと。ストックオプションで実現した利得の所得分類は、かって一時所得か給与所得かで問題となったが立法上の手当てがなされた解決済みの問題だ。ここで、私の注目を集めたのは、元役員のオプション行使が異なった年度で、複数回行われ、その両方とも無申告であったことを理由に重加算税と検察庁への告発がなされたこと

重加算税は、仮装隠ぺいという事実があって初めて課される。したがって、繰り返し「なにもしない」行為(不作為)に対して、課税庁は仮装隠ぺいという評価をしたことになる。

その事実認定の背後には、アメリカの証券会社でJ&J株を売却し、その譲渡金額を日本に送金しなかったこと。およびそれを2回やったということに悪質という価値判断をしたんだろう。

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2009年10月6日火曜日

課税当局の啓もう(宣伝)活動

 昨日、今日と、新聞の3面欄に脱税事件が大きく取り上げられていた。例年は、確定申告シーズンに入るころから、課税当局からネタ元の脱税事件が新聞上賑わしている。したがって、今年はずいぶんと早い。 今日の事件の概要は、日本国籍の個人が香港法人の役員であった。その在任中に居住地が日本であったのか、香港であったのかが、事件の争点である。つまり、在任中、「香港または日本のどちらに生活の本拠があったのか?」が問われるところ、新聞報道は、すでに、居住地が日本であったことを前提に脱税をしたという決め付けで、事件を報じていることだ。 知らず知らずのうちに、税務当局の大本営発表を新聞がそのまま受け入れて、読者に提供しているという、デジャブをみている思いになる。
 裁判員制度もすでにスタートし、私たちシロウトが、事件の事実認定について判断をもとめられるところ、われわれはそれに耐えうる能力(検察等の課税当局に対する批判精神)を持っているのだろうか? 私の知るところ、過去の裁判員制度の対象となった裁判はすべて、検察当局の事実認定に沿った量刑判断にとどまっているように思う。

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2009年10月2日金曜日

金融モラトリアム法案の行方ー2

私の顧問企業に、県の再生協議会を通じてまとめた再生計画に従って、再生中の会社がある。
その会社は、再生計画案作成の際に、簿外公租公課の支払い、必要運転資金量を考慮していなかったために、再生計画策定から1年以内にもかかわらず、資金ショートして、債権者に真水(新しいキャシュの入り)や、リスケを依頼したが、断られている。再建計画が軌道に乗って、NOPAT(Net Operating Profit After Tax, 税引き後純利益)が黒字であるにも関わらず企業存亡の瀬戸際にいる。


この会社は、切り札である県再生協議会を使ってしまったので、再度のリスケあるいは真水(純キャッシュフロー)の可能性がほとんどない。したがって、金融モラトリアム法案が通過すれば救済を受けられる可能性があると思っている。

しかし、モラトリアムの対象企業の選定をどのように行うのか、モラトリアム期間中に、会社が倒産したら損害を被った銀行をどう救済するのか。その間の機会収益はだれが保証するのか?モラトリアム期間中は、銀行は、新たな貸付のための資金をどう調達するのか?などなど

クリアしなければならない、課題はたくさんありそう。


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2009年10月1日木曜日

機械及び装置、ならびに器具及び備品、おまけに機器

ある先生から、訴訟になっている事件についてお話を伺った。
租税特別措置法42条の6は、中小企業者の機械等を取得した場合の特別償却制度を定めている。
同条は、特別償却制度の対象となる資産を、1)機械および装置、2)器具及び備品のうち特定の資産に限定しているが、2)器具及び備品は、原則ダメと考えておこう。

そうすると、資産が、器具及び備品であればダメ。機械および装置であればOKということになるから、法人企業が、同法42条の6を適用したい場合に、取得した資産が、機械および装置に該当するかどうかは大問題になる。また、この事件では問題とならないが、税法は、機器という言葉も使用している。(減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表1) 

機械および装置とはなにか? 器具及び備品とはなにか? その定義は税法にはない。

みなさん、どう思います?

2009年9月30日水曜日

金融モラトリアム法案の行方

お客様のなかには、昨年来のリーマン不況で、資金繰りにあえいでいる企業がある。そのうちの1社は、県の再生協議会に持ち込まれて、銀行団からのリスケを受けた方がおられる。

しかし、再建計画のなかで必要運転資金の見積もりが過小であったこと、および税金等の公租公課の債務が簿外(再建計画のためのB/S上)でなったことを主たる原因として、その再建計画の実行途中で、資金がショートされている。

いったん再生協議会案件の再度のリスケということは、とても難しく、その顧客企業の社長は、新たなファイナンス手段を探して、ここ3-4ヶ月、金融機関、再生協議会を奔走されていた。

昨日、大口仕入れ先から500万円の資金を融通してもらって一息ついた格好だが、もし、金融モラトリアム法案が通過したら、大助かりとなろう。

この審議の行方に大きな関心をもって見守りたい。

出産一時金について

顧問先の従業員の方の奥様が10月に出産予定です。(おめでとうございます)
顧問先では、政府管掌健康保険に加入されています。

税金とは話がそれますが、出産につきものの出産一時金が10月1日から改正されることをご存じですか??

現在は、出産する人が、病院に、出産費用を窓口で直接支払った後に、健康保険に申請して健康保険基金より出産一時金を受領しています。

10月1日よりは申し込みにより、健康保険から直接、病院に支払われることになります。

出産費用が出産一時金(政府管掌保険の場合 10月1日から42万円)未満の場合、差額はご本人に戻ってきます。

ところが、お医者様によっては、10月1日開始の支払いシステムの対応ができない方が生じる見込みです。その場合は、申請により従来通りの方法で支払われることとなっています。

それぞれ健康保険もたくさんの組合があります。
お医者さま、健康保険 それぞれに聞いてみて、自分たちに合った方法を選ばれるといいですね。

千葉