2009年10月14日水曜日

事業承継は、人の心から

税理士は、外部の目が入りにくい中小企業にとって、比較的、冷静にものを見ることができる貴重な存在ではないかと自負している。それだからだろう、私は、そろそろ、社長さんが年をとってきて、顧問先企業の経営が乱れてきたことが見えてしまうことがある。今日、訪問した企業で事業承継について、親子経営者の対立を目にすることになった。

この会社では、銀行リスケの交渉過程で、銀行団が、リスケに応じる条件として、経営不振の責をとって、父親が実権のない会長職に退任させられ、息子さんが社長になっている。今日、息子さんから兼ねて依頼を受けていた、父親の意思決定により事業参入をしたが、不振がつづく事業の譲渡について、購入に興味を示している会社に対する次の一手の相談をしたのだが、父親が、相手方がうさんくさいという理由(その実、相手方は誰であるかについて守秘義務の関係で開示されていないのだが)反対、息子が賛成をして、当面、父親の意見を尊重して、売却話をストップすることになった。

また、別の会社の会社の社長さんは、70代後半の方である。息子さんがおられ、かって、その会社の経営陣に加わっていたが、意見の対立により会社から追放されてしまった。


私は、企業の存続のために、社長さんに息子さんを呼び戻して、帝王学を学ばせるべきと何度もアドバイスしたが、逆に、息子とつるんで社長を退任させる画策をしていると誤解を受けて、警戒されてしまった。

両方のケースとも、もし、すんなり、事業承継が行われていたら、退任する父親は、自分は失敗したという思いにとらわれてしまうことだろう。あの方法の、この方法のメリット、デメリットはああだこうだというテクニカル論に走る前に、その人の心を思いやることの大事さに思いを致しているところである。

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